HOW TO CHOOSE
ロボット掃除機の選び方|後から変えられない順に決める
ロボット掃除機は、いまや1万円台から20万円台まで揃っています。価格差が20倍あるのに、商品ページに書いてあることは、どれも似ている。「高機能」「自動」「静音」。比較しようがないじゃないか、と思います。
そこで、比較の軸をこちらで決めてしまうことにしました。基準はひとつ、後から変えられない項目から順に見る。これだけです。
目次
結論:設置寸法 → ゴミ収集 → 水拭きの順
この順番には理由があります。
- 設置寸法:部屋の広さは変えられない。ここで候補が消えることがいちばん多い
- ゴミ収集:本体の構造に組み込まれているので、後から追加できない
- 水拭き:使わないなら不要な機能。後から「使わなかった」は取り返せるが、「欲しかった」は取り返せない
吸引力やマッピング性能は、この3つを通過した候補の中から選ぶ話です。最初に見てしまうと、数字の大きさに引っ張られて、置けないモデルを選んでしまいます。
最初に測るのは、本体ではなくステーション
ロボット掃除機は、本体よりステーションのほうが大きいことがほとんどです。そして、そのステーションには電源が必要で、前後にある程度の空間も要ります。
測るべきは次の4つ。
- 幅・奥行き・高さ:カタログの寸法に、メーカーが指定する余裕を足す
- コンセントの位置:コードの長さも確認。延長コードは推奨されないことが多い
- 扉の開閉:ゴミパックや水タンクを交換する方向に、開くスペースが必要
- 搬入経路:玄関から設置場所までの廊下の幅。箱のままでは入らないことがあります
特に見落とすのが3番目です。ステーションは壁につけて置くものですが、タンクを上に引き抜くタイプなら上方向に、前に引き出すタイプなら前方向に空間が要ります。設置してから「交換しづらい」と気づくと、毎週ストレスになります。
賃貸で床が傷つけられない場合は、ステーションの下にマットを敷く、滑り止めを付けるなどの対策も必要です。水拭きモデルは水を扱うため、フローリングの継ぎ目を避けて置くほうが安全です。
自動ゴミ収集の有無で、毎日の手間が変わる
ロボット掃除機の手間は、掃除そのものよりゴミを捨てる作業に集約されます。本体のダストボックスは意外と小さく、髪の毛が多い家だと2〜3回でいっぱいになる。ここを自動化するのが、自動ゴミ収集ステーションです。
仕組みは単純で、掃除が終わると本体からステーションへゴミを吸い上げる。ステーション側の紙パックやダストボックスは、数週間〜数ヶ月に1回交換するイメージです。
注意したいのは、紙パックが消耗品になること。機種によってはカセット式で、1個あたり数百円〜1,000円台。年間で数千円かかる計算になります。ダストボックス式で捨てるだけのモデルもありますが、その場合は捨てる頻度が上がります。
「紙パック代を惜しむか、ゴミを捨てる手間を惜しむか」。ここは生活の好みで決めていい部分だと思います。ただ、紙パックの入手性は必ず確認してください。廃番になったときに困るのは、本体ではなく消耗品のほうです。
水拭きは「方式」で仕上がりが変わる
水拭き機能と一口に言っても、方式がいくつかあります。大きく分けるとこの4つです。
| 方式 | 動き | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 拭きシート | シートを貼って床をなぞる | ホコリ取り。軽い汚れ |
| 回転モップ | 2枚のモップを回転させながら拭く | 床のベタつき。ある程度の汚れ |
| 振動モップ | 1枚のモップを細かく振動させる | 部分的な汚れ。狭い場所 |
| 伸縮モップ | モップが横にせり出す | 壁際・家具の脚まわり |
※方式の呼び方と搭載状況はメーカーによって異なります。実際の仕様は各製品ページで確認してください。
どれが上か、という話ではありません。拭きシートは手軽で衛生的ですが、汚れを落とす力は控えめ。回転モップは汚れに強いぶん、モップ自体の洗浄が必要になります。
そして、モップの洗浄を自動でやるのが「AutoWash」のようなステーション機能です。これがあると、水拭きのたびにモップを外して洗う作業から解放されます。逆に、この機能がないモデルで毎日水拭きすると、たぶん3日でやめます。
だから、水拭きを選ぶならモップ洗浄の自動化までセットで考えるのがおすすめです。水拭き本体だけ安く買って、洗うのが面倒で使わなくなる。これが、いちばんもったいないパターンです。
吸引力の「◯倍」は、基準を確認する
商品ページに「吸引力4倍」と書いてあったとします。何の4倍なのか。ここを確認しないと、機種の比較を間違えます。
たとえば、あるメーカーのラインナップで「4倍」と「3倍」が並んでいた場合。両方が同じ旧モデルとの比較なら、新しいほうが約1.33倍強い、と読めます。でも、片方が別の基準で「5倍」と書いてあったら、単純比較はできません。
確認するときのポイントは3つ。
- 比較対象の機種名が書かれているか
- 測定モード(強・標準・スポット)が同じか
- Pa(パスカル)やW(ワット)など、絶対値の表示があるか
正直なところ、日本の住まいでは吸引力の差が体感に出にくい面があります。フローリングのホコリや髪の毛は、そこまで強い吸引力を必要としません。カーペットの毛足が長い、ペットの毛が大量に落ちる、砂をよく持ち込む。こうした条件があるなら、数字を気にする価値があります。
マッピングと障害物回避
最近のモデルは、部屋の地図を作って効率よく動きます。ここで差が出るのが、次の3つです。
- マッピングの精度:部屋を覚えて、順番に回れるか
- 障害物回避:ケーブル、靴下、ペットの落とし物を避けられるか
- 進入禁止エリア:アプリで「入ってほしくない場所」を設定できるか
3番目は、意外と重要です。水拭きモデルで絨毯の上を拭いてしまうと、絨毯が湿って臭いの原因になります。進入禁止エリアを設定できるかどうかで、水拭きの使い勝手はかなり変わります。
また、ペットがいる家では、落とし物を回避できるかが死活問題になります。回避できずに踏んで部屋中に広げる、という事故は実際に起きます。この機能の有無は、商品ページの「AI障害物認識」などの記載で確認できます。
購入・サブスク・消耗品の総額
価格を比べるとき、本体価格だけを見ると判断を誤ります。3年使うとして、総額でいくらかかるかを考えてみてください。
- 本体価格:10万円〜20万円が中心帯
- 消耗品:紙パック、フィルター、ブラシ、モップ。年間3,000〜10,000円程度が目安
- 電気代:毎日運転しても、月数百円程度
- 修理費:保証期間を過ぎた場合のバッテリー交換など
サブスクは月額1,180円〜というプランがあり、機種によって金額が上がります。20万円のモデルを月額で借りると、購入より総額は高くなりやすい。ただ、故障対応やメンテナンスが含まれるプランなら、その分の価値はあります。
私たちの考え方はこうです。初めてならサブスクか10万円前後、2台目以降は購入。生活に合うかどうかは、使ってみないと分からない。最初から20万円を賭けなくてもいいと思います。
向かない部屋の条件
向いている部屋
- 床に物が少なく、通り道がある
- フローリングが中心で、段差が少ない
- コンセントと設置スペースが確保できる
- 毎日、決まった時間に動かせる
- ペットや子どもの髪・ホコリが多い
向かないかもしれない部屋
- 床にケーブル・コード類が多い
- 長毛カーペットがメイン
- 敷居や段差で部屋が分断されている
- 家具が低すぎて本体が入れない
- 水拭きを手で拭く習慣がすでにある
「向かない」の中でも、ケーブル問題は本当に多いです。ロボット掃除機はケーブルを吸い込んで止まるか、引っ張って機器を落とすか。どちらにしても良いことがありません。ケーブルをまとめる習慣がない人は、まずそこからだと思います。
機種ごとのステーション寸法と、自動化の範囲は公式サイトで比較できます。
アイロボット公式ストアで見るこの記事を書くために、家の間取り図を出してステーションの寸法を測ってみました。結果、うちのリビングには置ける場所がひとつしかないことが分かって、ちょっと笑ってしまいました。スペックをいくら比べても、最後に効くのは「置けるかどうか」なんですよね。
買う前に部屋を測る。地味だけど、いちばん確実な失敗回避法だと思います。
よくある質問
ゴミを捨てる頻度を減らしたいなら必要です。特に髪の毛が多い家やペットがいる家では、本体のダストボックスがすぐいっぱいになります。一方、毎日ちょっとだけ掃除する使い方なら、手で捨ててもそれほど負担にならない場合があります。
基本的にできません。水拭きの有無は本体の構造で決まるため、購入時の選択がそのまま続きます。ただし、拭きシートを取り付ける別売りアクセサリーが用意されている機種もあります。対応状況は各製品ページで確認してください。
使えますが、確認したい項目が増えます。毛がブラシに絡みにくい構造か、落とし物を回避できるか、吸引音でペットが驚かないか。この3点です。特に障害物回避は、事故を防ぐ意味で重要になります。
一般的なロボット掃除機の消費電力は、毎日運転しても月数百円程度と言われます。吸引力を常に最大にすると増えますが、電気代より消耗品代のほうが影響は大きい傾向があります。正確な値は各製品の消費電力表示から計算できます。