PC STORAGE
SSD換装は、まだ効くのか。
Silicon PowerのA55・P34A60・UD90を選ぶ
5年前のノートPCが、まだ使えるのに遅い。起動に2分、ブラウザを開くだけでファンが回る。買い替えを考える前に、一度だけ疑ってほしいのがストレージです。
CPUもメモリも足りているのに遅いなら、原因はHDDかもしれません。SSDに換えるだけで、同じPCとは思えないほど起動とアプリの反応が変わることがあります。
この記事では、Silicon PowerのSSDを3つ(A55・P34A60・UD90)に絞って、速度・保証・価格の違いを整理します。換装前に確認する端子と、容量の選び方も一緒に見ていきます。
目次
結論:古いPCの延命ならA55、新しめのPCならP34A60かUD90
先に結論を書きます。
- 2.5インチHDDからの換装なら、A55(1TB・5,380円〜)
- M.2スロットがあり、コスパ重視なら、P34A60(1TB・7,206円〜)
- PCIe 4.0対応のPCで、速度も欲しいなら、UD90(1TB・16,911円〜)
迷ったら、PCのスロットを確認してから選んでください。SATAの2.5インチしか入らないPCにM.2 SSDを買っても、物理的に取り付けできません。逆に、M.2スロットがあるなら、SATA SSDを選ぶ理由はほとんどありません。
「速いSSDを買えば、なんでも速くなる」わけでもありません。起動やアプリの立ち上がりは、SATA SSDでも十分に速い。Gen4の差が出るのは、大きなファイルのコピーや、動画編集の書き出しなど、連続して大量のデータを扱う場面です。
3つのSSDの比較表
| 項目 | A55 | P34A60 | UD90 |
|---|---|---|---|
| 形状 | 2.5インチ SATA | M.2 2280 NVMe | M.2 2280 NVMe |
| インターフェース | SATA III 6Gb/s | PCIe Gen3×4 | PCIe Gen4×4 |
| 1TBの読込(最大) | 560MB/s | 2,200MB/s | 5,000MB/s |
| 1TBの書込(最大) | 530MB/s | 1,600MB/s | 4,800MB/s |
| 保証 | 3年 | 5年 | 5年 |
| 1TBのTBW | 500TBW | 600TBW | 購入前に公式で確認 |
| 厚さ | 7mm | M.2 2280 | 3.5mm |
| 価格(2026年10月30日時点) | 5,380円〜 | 7,206円〜 | 16,911円〜 |
※速度・保証・TBWはSilicon Powerの公開情報および販売店の記載(2026年10月30日時点)によります。実測値はPCの構成や容量によって変わります。最新の仕様はリンク先でご確認ください。
A55:古いノートPCの「とりあえず延命」に
A55は、2.5インチのSATA SSDです。6Gb/sのSATA接続で、1TBモデルは読込560MB/s・書込530MB/s。3D NANDを採用し、7mm厚なので、多くのノートPCに入ります。
保証は3年、1TBで500TBW。毎日大量に書き込む用途でなければ、十分な数字です。何より、1TBで5,000円台から買えるのが強い。HDDからの換装で、ここまで価格を抑えられるのは助かります。
注意点は、SATAの速度上限。連続読込は560MB/s程度で頭打ちになります。NVMeのような数字は出ませんが、HDDのシーケンシャル読込(100〜150MB/s程度)と比べれば、体感は別物です。
P34A60:M.2があるなら、最初に検討したい
P34A60は、M.2 2280のNVMe SSD。PCIe Gen3×4で、1TBは読込2,200MB/s・書込1,600MB/s。SATAの約4倍の帯域があり、保証は5年、TBWは600です。
Gen3のNVMeは、いまや「遅い」と言われることもあります。ただ、OSとアプリの起動、日常のファイル操作では、Gen4との差を感じる場面は多くありません。価格差を考えると、まずGen3で十分という人も多いと思います。
M.2スロットの規格(Key M、2280対応)と、PCIeの世代を確認してください。Gen3のSSDはGen4のスロットでも使えますが、その逆は使えません。
UD90:Gen4の速度を、手頃な価格で
UD90は、PCIe Gen4×4のNVMe SSD。1TBで読込5,000MB/s・書込4,800MB/s、保証は5年です。NVMe 1.4とHMBに対応し、SLCキャッシュとLDPCコーディングを備えます。
Gen4の速度が活きるのは、大きなファイルの移動や、動画の書き出し、ゲームのロードなど。逆に、Web閲覧やOffice作業が中心なら、P34A60との差はほとんど分かりません。
価格は1TBで16,911円〜と、P34A60の2倍以上。この差を「速さ」に払うか、「容量」に回すか。私たちなら、予算が決まっているなら容量を優先します。1TBを2枚買うほうが、500GBのGen4を1枚買うより、暮らしは楽になります。
換装前に確認する3つ
- スロットの種類:2.5インチSATAか、M.2 NVMeか。M.2でもSATA接続のスロットがあるので、型番で確認します
- M.2の長さとKey:2280(80mm)対応か、Key Mか。2242や2230の短いスロットしかないPCもあります
- 厚さと干渉:2.5インチは7mm厚がノートPCの標準。M.2はヒートシンクの有無で干渉することがあります
いちばん確実なのは、PCの型番でメーカーの仕様表を見ることです。「SSD換装 型番」で検索すると、同じ機種の分解記事が見つかることもあります。ただし、分解すると保証が外れる場合があるので、そこは自己責任で。
デスクトップPCなら、マザーボードのM.2スロットの位置と、PCIeの世代を確認してください。Gen3のスロットにGen4のSSDを挿しても、Gen3の速度で動きます。下位互換はありますが、性能は活かせません。
SATA・Gen3・Gen4で、体感はどう変わるか
数字だけ並べると、SATA 560MB/s、Gen3 2,200MB/s、Gen4 5,000MB/s。約10倍の差があります。でも、体感は数字ほど劇的には変わりません。
理由は、日常の操作が「連続した大きな読み書き」ではなく、「小さなファイルをあちこちから読む」動作だからです。このランダムアクセスでは、SATA SSDでもNVMeでも、それほど差が出ません。
体感差が出やすいのは、次のような場面です。
- HDDからSSDへの換装:起動・アプリ起動・更新がはっきり速くなる
- SATA SSDからGen3 NVMe:大きなファイルのコピーが速くなる。日常操作は少し
- Gen3からGen4:動画編集の書き出し、ゲームのロード、巨大ファイルの移動で差が出る
つまり、いちばん効果が大きいのは「HDDからSSD」への一歩目です。そこを飛ばしてGen4を選んでも、恩恵は限られます。古いPCなら、A55で十分。新しいPCなら、最初からNVMeが入っていることが多いので、容量増設としてP34A60かUD90を選ぶ、という順番になります。
容量は1TBが中心。500GBで足りる人
2026年10月時点の価格を見ると、1TBがいちばんバランスのいい容量です。OSとアプリで100GB、写真と動画で200GB、ゲームを数本入れて100GB。余裕を見て1TBあると、容量を気にせず使えます。
500GBでも、WebとOffice中心なら足ります。ただし、SSDは空き容量が少なくなると書き込み速度が落ちます。常に20%程度は空けておきたいので、実質400GB。動画を保存するなら、すぐ一杯になります。
250GBは、OS専用のシステムドライブとして割り切るならあり。データは外付けHDDやクラウドに置く前提です。写真や動画をPC内に置きたい人には、おすすめしません。
2TB以上は、動画編集やゲームを大量にインストールする人向け。価格が跳ね上がるので、まず1TBで足りるかを考えてから選んでください。
換装の手順と、失敗しないための注意
換装の方法は、大きく2つです。
- クローン:外付けケースなどで新SSDをつなぎ、今の環境をそのままコピーする
- クリーンインストール:OSを新規に入れ、必要なデータだけ戻す
手軽なのはクローンですが、トラブったときの切り分けが難しくなります。時間があるなら、クリーンインストールのほうがすっきりします。どちらも、先にバックアップを取ってください。これは省略しないほうがいいです。
注意点は、次の4つ。
- BitLocker:暗号化している場合は、事前に回復キーを控えるか、一時停止する
- TRIM:Windowsは自動で有効になりますが、換装後に確認する
- AHCI:BIOS/UEFIのSATA設定がAHCIになっているか確認する
- 起動順:換装後にBIOS/UEFIで起動ドライブを新SSDに変更する
ノートPCの分解は、ネジの場所と爪の向きで躓きます。工具は、プラスチックのヘラと精密ドライバーがあると安心です。保証が気になるなら、メーカーの有償換装サービスを検討したほうがいい場合もあります。
向かない人
SSD換装が向いている人
- HDD搭載のPCが、まだ使えるのに遅い
- 空き容量が足りず、アプリを消して凌いでいる
- 自分でPCを開けて、部品を交換できる
- ゲームのロードや動画の書き出しを速くしたい
- 買い替えより、まず1万円以下で試したい
向かないかもしれない人
- PCを開けるのが不安(有償サービスを検討)
- 外付けのポータブルSSDが欲しい(内蔵型は使えません)
- CPUやメモリが原因で遅い(SSDでは解決しません)
- 保証期間中で、分解を避けたい
- 4K動画編集など、最初から高速な環境が必要
よくある質問
PCに2.5インチSATAの空きベイがあるならA55、M.2 NVMeスロットがあるならP34A60が基本です。M.2スロットがあるのにSATAを選ぶ理由はほとんどありません。まずPCの型番でスロットを確認してください。
使えます。ただし、PCIeは下位互換なので、Gen3のスロットではGen3相当の速度になります。Gen4の性能を活かすには、PC側がPCIe 4.0に対応している必要があります。
クローンならそのまま使えることが多いです。ただし、BitLockerの回復キーや、ライセンス認証の状態を事前に確認してください。クリーンインストールのほうが、トラブルは少ないです。
PS5のM.2拡張スロットは、PCIe 4.0対応とヒートシンクなどの条件があります。UD90が条件を満たすかは、SONYの案内と製品の仕様を照らし合わせてください。自己判断が不安なら、PS5対応を明記した製品を選ぶほうが確実です。
TBW(総書き込み量)と保証期間のどちらか早いほうが目安です。A55の1TBは500TBW・3年、P34A60の1TBは600TBW・5年。毎日大量に書き込む使い方でなければ、通常の利用で数年はもちます。重要なデータは、SSDでもバックアップを取ってください。
SSDの記事は、つい速度の数字を並べたくなります。でも、読んでいる人が知りたいのは「私のPCは速くなるのか」であって、「5,000MB/sはすごい」ではないはずです。
古いPCをSSDにしたときの変化は、数字より体験に近いものです。イライラが減って、PCを開くのが少し楽しくなる。買い替えを先延ばしにできるなら、それだけでも十分な価値があると思います。まずは、今のPCのHDDかSSDかを確認するところから始めてください。