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Jackeryのポータブル電源、500・1000・2000のどれを買うか
ポータブル電源を調べ始めると、最初にぶつかるのが数字の壁です。512Wh、1070Wh、2042Wh。500W、1500W、2200W。どれが自分に必要なのか、数字だけ見ても分かりません。
でも、「大きいほうが安心」は、あまり当てになりません。大きいものは重い。重いと、外に持っていかなくなるんです。18.6kgの機械を車から降ろしてテントまで運ぶのは、1回目はできても2回目はつらい。
なのでこの記事では、容量の話から始めません。「家で何ワット使いたいか」→「外に持っていく重さはどこまで許せるか」→「容量」の順で整理します。Jackeryの3機種(500 New・1000 New・2000 New)を並べながら、どこで線を引くかを書きました。
目次
結論:定格出力で選ぶと失敗しない
容量から入ると失敗します。理由は単純で、容量が足りないと動かないのではなく、定格出力が足りないと動かないからです。
たとえば電気ケトルは1,000〜1,300Wを一気に使います。512Whの500 Newは容量でいえばケトルを何回も沸かせるだけの電気を持っていますが、定格出力500Wなので、そもそも動きません。ここを知らないと「容量が大きいのに使えない」と混乱します。
- スマホ・ノートPC・照明・扇風機だけ → 500 New(512Wh/500W)
- 炊飯器・電子レンジ・ドライヤーも家で使いたい → 1000 New(1070Wh/1500W)
- 停電時に家の複数機器をまとめて動かしたい → 2000 New(2042Wh/2200W)
この3行で、ほぼ決まります。あとは重さと予算の問題です。500 Newは5.7kgで片手で持てますが、2000 Newは18.6kg。車に積むのもそれなりに力がいります。
Jackeryはどんなブランドか
Jackery(ジャクリ)は、ポータブル電源とソーラーパネルを専門に作っているブランドです。日本では正規代理店経由の公式ストアがあり、日本語のサポート窓口と保証が用意されています。
仕様面で、日本の家庭で使うときに効いてくるのは次の4点です。
- 出力100V・純正弦波:日本の家電の電圧に合わせてあり、波形もコンセントと同じ正弦波。モーターを使う家電や、ACアダプタを使う機器で問題が出にくい方式です
- リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリー:3機種とも採用。充放電のサイクル寿命が長く、500 Newは6,000回、1000 Newと2000 Newは4,000回と案内されています(サイクル後も残量70%を維持するという前提つき)
- 保証:公式サイトでは3年保証+延長2年で最大5年と案内されています。購入経路によって条件が変わる可能性があるので、買う前に確認してください
- 無償回収・リサイクル:使い終わった本体の回収を受け付けています。大型のバッテリーは自治体のゴミに出せないので、これは実用上かなり重要です
販売実績の数字(世界販売台数や国内シェア)は公式サイトで大きく案内されていますが、当サイトでは出典と調査時期が明記されているもの以外は数字を引用していません。
3機種の比較表
| モデル | 容量 | 定格出力 | 重量 | AC満充電 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|---|---|
| 500 New Amazon | 512Wh | 500W 瞬間1,000W | 約5.7kg | 約70分 | 55,840円 通常69,800円 |
| 1000 New Amazon | 1,070Wh | 1,500W 瞬間3,000W | 約10.8kg | 約1.7時間 緊急時60分 | 75,474円 通常119,800円 |
| 2000 New Amazon | 2,042Wh | 2,200W 瞬間4,400W | 約18.6kg | 約1.8時間 | 119,880円 通常199,800円 |
※2026年10月28日時点のJackery公式ストア掲載情報より。価格はセール価格で、期間・在庫により変動します。2000 NewはAmazonの現行品(V2)で容量表記が2,048Whとなる場合があります。
表を見て分かるのは、1000 Newの価格が500 Newとかなり近いことです。セール時の実売で見ると、容量は約2倍、定格出力は3倍で、差額は2万円弱。ここは判断が分かれるところだと思います。
ただし重さは5.7kgから10.8kgへ、ほぼ2倍になります。「家で使うか、外に持っていくか」で、この2台は別物になります。
Whの計算方法|何が何回動くのか
Whは「ワット×時間」です。600Wの家電を1時間動かすと600Wh。つまり容量Wh ÷ 消費電力W = おおよその使用可能時間になります。
ただし、実際には変換ロスがあります。ポータブル電源はバッテリーの直流をコンセントの交流に変換するときに熱として逃げるので、実際に取り出せるのは容量の8割前後と考えておくのが現実的です。
計算式:使える電気 ≒ 容量(Wh) × 0.8 / 連続使用時間 ≒ 使える電気 ÷ 消費電力(W)
具体例で見てみます。
- スマホ(約15Wh/1回満充電):500 Newなら約27回分。1泊2日のキャンプなら余裕です
- ノートPC(約60W):500 Newで約6.8時間。1000 Newなら約14時間。テレワークの予備電源としては500 Newでも足ります
- 電気毛布(約60W):500 Newで約6.8時間。冬の車中泊なら一晩もちます
- 炊飯器(約700W・炊飯30分):1回あたり約350Wh。1000 Newで2回強、2000 Newで4回強。500 Newは定格500Wなので動きません
- ドライヤー(約1,200W・10分):1回約200Wh。1000 Newで4回分。ただし起動時に大きな電力を引くので、定格に余裕のある機種を選びます
- 電子レンジ(約1,000W・5分):1回約83Wh。1000 Newなら10回前後。意外と消費は少ないです
こうして並べると、「消費電力が大きい家電」と「電気をたくさん使う家電」は別物だと分かります。電子レンジは電気を食いません。ケトルは短時間で大量に食います。この区別がつくと、容量選びがぐっと楽になります。
定格出力と瞬間最大出力は何が違うのか
カタログには「定格出力1,500W(瞬間最大3,000W)」のように2つの数字が並びます。
- 定格出力:連続して出せる電力。これを超えると保護回路が働いて止まります
- 瞬間最大出力:モーターやヒーターの起動時など、ごく短時間だけ出せる電力
冷蔵庫や掃除機は、動き出す瞬間に定格の2〜3倍を引きます。だから瞬間最大出力の数字が大きいほど、モーター系の家電を起動しやすくなります。
ただし、瞬間最大出力は「連続で使える余裕」ではありません。1,500Wの定格に対して1,400Wの家電をずっと使うと、本体はかなり熱くなります。定格の7〜8割に収めるのが長持ちさせるコツです。
もうひとつ、忘れがちなのが同時使用です。ACコンセントが3口あっても、合計が定格を超えれば止まります。1000 Newなら「ドライヤー+炊飯器」は同時に使えません。停電時に何を同時に動かしたいかを、先に想像しておくといいと思います。
500 New|軽さで選ぶならこれ
500 Newは512Wh、定格500W、5.7kg。3機種で唯一「片手で持って、車まで歩ける」重量です。
AC出力は2口、合計500W。USB-C×2、USB-A、DCカーポート。ACコンセントから約70分で満充電できます。朝、出かける前にコンセントに挿しておけば、出発時にはほぼ満タンです。この速さは地味に効きます。
向いているのは、スマホ・タブレット・ノートPC・照明・扇風機・電気毛布といった、消費電力が数百ワットまでの機器です。車中泊、1泊のキャンプ、デスクワークの予備電源。そういう用途では、容量よりも「持ち出せること」のほうが価値になります。
逆に、ケトル・炊飯器・電子レンジ・ドライヤーは動きません。ここははっきり書いておきます。500W定格の壁は思ったより低いので、「家電もいけるかな」と期待して買うとがっかりします。
1000 New|家庭の最低限をまかなう中心機
1000 Newは1,070Wh、定格1,500W、10.8kg。3機種のなかで、いちばん「迷ったらこれ」に近いモデルです。
定格1,500Wあると、炊飯器、電子レンジ、ドライヤー、こたつ、電気ケトル(1,200Wクラスまで)が動きます。家庭の主要な家電がほぼカバーできるラインで、ここを超えると一気に価格と重量が跳ね上がります。
サイズは327×224×247mm。10.8kgは重いですが、両手で持てば家中を移動できます。普段は棚の下に置いておいて、停電のときに台所へ運ぶ。そういう使い方が現実的です。
AC充電は約1.7時間、アプリの「緊急充電モード」を使えば最短60分。台風が近づいてから準備しても間に合う速さです。ソーラーは200W入力で約8時間、400W入力なら約3時間。
注意点は、10.8kgを持ち歩く前提にしないほうがいいということです。キャンプに持っていくのは可能ですが、毎回はきつい。500 Newと1000 Newの2台持ちは現実的ではありません。1台で「家と外の両方」を狙うなら、1000 Newが上限だと思います。
2000 New|エアコンは無理でも、だいたいは動く
2000 Newは2,042Wh、定格2,200W、18.6kg。容量2kWhは、1日12kWh前後を使う家庭なら、その日の消費電力量のおよそ15〜17%にあたります。「暮らしが丸ごと続く」とまではいきませんが、冷蔵庫・照明・通信機器・スマホを数日維持することは狙えます。
定格2,200Wは、3機種で唯一2,000W級の家電に手が届く数字です。大型の電子レンジ、2,000W設定のあるIHクッキングヒーター、パワーのあるドライヤー。1,500W定格の1000 Newでは保護回路が働く場面でも、2000 Newなら動く余地があります。この差が効くのは、まさに停電時に「いつもの調理をしたい」と思ったときです。
ただし、エアコンは動きません。家庭用エアコンの定格は数百Wでも、室外機の起動時に大きな電力を引くうえ、200V機種も多い。2000 Newは100V出力なので、そもそも端子が合いません。ここは誤解が多いので明記しておきます。
重さ18.6kgは、車に積むだけなら問題ありませんが、階段の上り下りは覚悟が要ります。設置場所を「停電時に使う部屋」に決めて、そこに置きっぱなしにするのが正解です。普段からUPS的にコンセントにつないでおけば、停電時に自動で切り替わります。
ソーラー充電の現実
ポータブル電源の広告では、ソーラー充電の写真が必ず出てきます。あれは嘘ではありませんが、条件が揃ったときの数字です。
公式の表記はこうです。
- 500 New:200W入力で約3.4時間、100W入力で約6.8時間
- 1000 New:200W入力で約8時間、400W入力で約3時間
- 2000 New:200W入力で約15時間、400W入力で約6時間
これは「快晴・パネルを太陽に正対・気温が適正」のときの数字です。実際には、雲、木陰、パネルの角度、季節の太陽高度で大きく落ちます。実測で半分以下になることも珍しくありません。だから、ソーラーは「メインの充電手段」ではなく「滞在中に少しずつ足す手段」と考えるのが現実的です。
ソーラーで本気を出すなら、パネルは容量に余裕を持たせてください。1000 Newに100Wパネル1枚だと、快晴でも15時間かかります。これは実質「1日で終わらない」です。200W以上、できれば400W入力を用意したいところです。
あと、冬の車中泊ではソーラーはほぼ期待できません。日が短く、パネルが汚れ、気温が低い。冬に使うならAC充電か、車のシガーソケットからの充電を前提にしたほうがいいです。
向かない人
向いている人
- 停電のときに、スマホと照明だけでも確保したい
- キャンプや車中泊で、電源のある快適さを優先したい
- 在宅勤務で、停電時にも作業を止めたくない
- 災害用品を「一度買って、点検しながら長く使う」つもりでいる
- 発電機は燃料の保管が不安、という人
向かないかもしれない人
- エアコンを動かしたい(100V機では無理です)
- 毎日使う電気を賄いたい(容量がまったく足りません)
- ベランダや車内に置きっぱなしにする(高温はバッテリーの大敵です)
- メンテナンスをしたくない(半年に1回は充放電が必要です)
- とにかく安さだけで選びたい(容量あたりの価格は大きい機種が有利です)
「日常の電気代を下げたい」という目的で買う人をときどき見かけますが、これは向きません。2kWhを毎日フルに使って、やっと数十円です。本体価格を回収するには何十年かかります。ポータブル電源は保険と娯楽であって、節約道具ではありません。
安全面と、買う前に確認したいこと
大型のリチウムイオンバッテリーは、扱いを間違えると危険です。買う前に、そして届いた後に確認したいことを並べます。
- PSEマーク:日本で販売する電気用品に必要な表示。正規品かどうかの判断材料になります
- 設置場所の温度:夏の車内、直射日光の当たるベランダ、ストーブの近くは避けます。0〜40℃が目安とされることが多いですが、メーカーの指定に従ってください
- 半年に1回の充放電:長期間使わないと劣化します。50%前後で保管し、半年ごとに一度フル充電して放電するのが基本です
- UPS機能:3機種とも、コンセントにつないでおくと停電時に自動で切り替わるUPS機能を備えています。切り替えは500 Newと2000 Newが0.01秒以内、1000 Newが20ミリ秒未満。デスクトップPCの電源が落ちるかどうかはPC側の電源ユニットの余裕にもよるので、過信はしないほうがいいですが、照明や通信機器が一瞬で復帰するのは体感できます
- 廃棄:自治体のごみには出せません。Jackeryは無償回収を受け付けています
- 延長コード:電源タップを介すと、定格電流の関係で使えない場合があります。本体のコンセントに直接挿すのが基本です
あわせて、購入経路も確認してください。公式ストアとAmazonでは、保証の受け方や延長保証の条件が異なることがあります。安いからといって正規品以外を選ぶと、サポートが受けられないリスクがあります。
ポータブル電源は、買う前に「停電した夜に使いたいもの」を3つ書き出すのがいちばん効きます。スマホ、照明、あとひとつ。それが電子レンジやドライヤーなら1000 New、スマホと照明だけなら500 Newで足ります。
容量の数字から入ると、だいたい大きいほうに流れて、重さで後悔します。順番を逆にするだけで、選びやすさはかなり変わると思います。
よくある質問
定格1,500Wなので、1,000Wクラスの電子レンジなら動きます。ただし、温め機能とグリル機能を同時に使うなど、合計電力が定格を超える使い方は保護回路で止まります。庫内の消費電力(ワット数)を商品の仕様で確認してください。
家庭用エアコンは動かせないと考えてください。2000 Newは定格2,200Wありますが出力は100Vで、200Vのエアコンには対応しません。また室外機の起動電流が大きく、定格内でも安定動作は保証されません。
UPS機能を使う場合は常時接続が前提です。ただし、満充電のまま高温の場所に置きっぱなしにするとバッテリーの劣化が早まります。風通しのよい場所に置き、メーカーの推奨する保管方法に従ってください。
Jackeryの案内では、500 Newは6,000回、1000 Newと2000 Newは4,000回の充放電サイクル後も残量70%を維持するとされています。1日1回の充放電で10年が目安という計算です。ただし使用温度や保管状態で実際の劣化速度は変わります。
機内持ち込みはリチウムイオン電池の容量制限(多くは160Wh以下)を受けます。500 Newは512Whあるため、該当しません。ポータブル電源は航空機への持ち込みができないものが大半なので、輸送方法は各航空会社の規定を確認してください。